『愛しき人々』シングル盤 『愛しき人々』
ロバート・パーマー
"Every Kinda People"
Robert Palmer
Debut 1978.3 / Peak Position 16
 大学受験といううっとおしいビッグイベントが控えていた割にはのんびり過ごしていた高校時代。その3年間は常に様々な音楽に彩られていた。そんな時代の思い出が70年代のポップソングとリンクしている。

 ロバート・パーマー。英国出身のボーカリスト。ソウルフルな歌いっぷりが魅力の白人シンガーで、デビュー当初は(今は死語と化した)ブルー・アイド・ソウルに分類されていたと思う。ジョ・ジョ・ガンというバンドを経てソロ活動に入った彼は本日ご紹介する『愛しき人々』のヒットにより、ようやく全米チャートにおいての知名度を確保した。ミディアムなテンポで展開される『愛しき人々』は、腹にずしっとくるベースと流麗なストリングスが利いている作品で、当時のソウル/ディスコブームとも連動していたとは思うが、パーマーのちょっと醒めた、しかしハートをそっと撫でるようなボーカルがポイントの印象深いヒット曲である。だが非常にソウルフルなボーカルを信条とするパーマーが実はねっからのロッカーであったことが後に発覚する。ポスト・パンク集団のひとつとして現れたデュラン・デュランやダンス系のシックのメンバーと組んだファンク・ロック・ユニット、パワー・ステーションの活動は滅茶苦茶新鮮で多くのリスナーから熱狂を持って迎えられた。にもかかわらずそのツアーに誘われた彼は“レコーディングだけの約束やろ?”とあっさり大きな儲け口を蹴っ飛ばし、その経験を生かして大ヒット作品集「リップタイド」をリリース、結果として大ブレイクを果たしてみせた。当時彼は日本のTV歌番組に出演した。パリッとしたスーツ姿で一見大学教授かエリートビジネスマン風の彼が歌うと、いきなりメチャウマ! 居合わせた他のミュージシャン達が目を白黒させていたのが未だ印象深い。ちなみに『愛しき人々』はあのポール・ロジャースも在籍したフリーのメンバー、アンディ・フレイザーの手によるもの。反骨精神あふれるロバート・パーマーはやっぱりねっからのロッカーだったのである。

 この曲が最高位を記録した1978年7月と言えば私が高校3年生の夏休みを迎えようとしていた頃。大学進学を目指していた割には塾なんか行っていなかった(一応夏期講習は申し込んだけど)のが、今から思えば不思議である。もちろん頭が良かった訳ではない...。いずれにしても今の子供達は大変だよなぁ、と思う。
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