『コンボイ』シングル盤 『コンボイ』
C・W・マッコール
"Convoy"
C.W.McCall
Debut 1975.12 / Peak Position 1
 日本固有の童謡などに馴らされた耳に新鮮に響くメロディ... 英語の授業では想像もできない雄大なアメリカの大地に思いを馳せながら深夜放送に耳を傾けた、そんな思い出が70年代〜80年代のポップソングとリンクしている...。

 ある時ラジオからヘンテコな曲が流れてきた。マーチングドラムに導かれて飛び交う無線の声、いかにもカントリーな間延びしたバッキングにのって低音の艶のある声による歌(語り?)。今ひとつ気合いが入っていないリフレインのコーラスの後にまた飛び込んでくる無線の声...。オイル・ショック以降ストライキのため共同戦線を張るようになったトラック運転手たちの強力な武器となったのがCB無線であった。今日ご紹介する『コンボイ』は巨大なトレーラートラックがCB無線でいろいろなやり取りをしながら徒党を組んで道路を行進していく様を描いたカントリー・ソングである。ちなみに歌っているのはC・W・マッコールとなっているが、その実体はある食パン会社のキャラクターだった??? ある広告代理店のディレクターにビル・フライズという人がいた。彼が作り出したキャラクター、C・W・マッコールが非常に人気が出たので、彼は調子に乗ってコマーシャル・ソングを録音。それをあるレコード会社がシングル発売したため“歌手:C・W・マッコール”が誕生したのだった。そんなある日、車で移動しながらCB無線を聞いていたフライズの脳裏をよぎったのが『コンボイ』のアイデアだった。すでにCB無線が普及していたアメリカでは爆発的ヒットとなった(後にクリス・クリストファーソン主演、サム・ペキンパー監督で同名映画も制作された)。だがCB無線自体が紹介されていない英国などではどうか... そういった国の人にしたら『コンボイ』は外国語の歌だと思ったかもしれないが、結果として多くの国で大ヒットを記録した。それでもビル・フライズは引き続き広告代理店に勤め新しいキャラクターを作ったりしていたそうである。またCB無線は当時タイム誌が“ベルの電話以降、最も急速に普及するコミュニケーション・メディアになるだろう”と予言した。現代では一般のコミュニケーションはインターネットが主流である。だがもちろんハイウェイをぶっ飛ばすトラック野郎達は未だにCB無線を愛用しているようである。

 この曲がナンバー1を記録した1976年1月は中学3年生も押し迫り高校受験の追い込みをしていた頃。そんなパニック状態の頭にこのCB無線の声が何と心地よく聞こえたことか...。
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