1980
“RUG the movie” 『RUG・ザ・ムーヴィー』
『RUG・ザ・ムーヴィー』
  A.Hashimoto ... Vocals, Electric Guitar
  M.Morioka ... Vocals, Electric and Acoustic Guitar, Harp
  T.Yamaguti ... Vocals, Electric and Acoustic Guitar, Piano

  H.Okui ... Tambourine, Percussions,
      Vocal and Acoustic Guitar on "Rain At Nine"
  Narikichi K. ... Tambourine, Percussions,
      Vocal and Acoustic Guitar on "Ob-La-Di,Ob-La-Da"
  H.Asaoka ... Vocal on "Couldn't Get It Back (Live)"
  Y.Goto ... Clarinet on "Couldn't Get It Back (Live)"
  A.Fushiki ... Bass on "Couldn't Get It Back (Live)"
  Y.Kitagawa ... Drums on "Couldn't Get It Back (Live)"

1978年に解散宣言をした洛東UNDERGROUNDが一時的に再結成し残した作品集は、彼ら自身の記録映画のサウンドトラック盤を兼ねている。再結成〜活動再開の噂が絶えなかった彼らだが、森岡が京都を離れ東京に行くことが決定したためその夢は潰えた。しかし彼らは熱烈なファンのために大きなプレゼントを残す。ひとつは森岡の門出を祝うべく集まったメンバー達の一日を記録した映画の撮影、もうひとつはそのサウンドトラック盤の作成である。さて本作は本格的なスタジオ録音ではないが、ホームライブの雰囲気で和気藹々とした演奏が楽しめる他、RUGファンにとっては貴重な音源がおさめられる等、未だに隠れた人気を維持する作品集である。

Skyline Symphony (恋のジェット飛行・交響曲)   Music By T.Yamaguti
Back In The RUG (バック・イン・ザ・RUG)   Words By T.Yamaguti / Music By A.Hashimoto
Introduction 〜 Tower Keeper (タワー・キーパー)   Words and Music By M.Morioka
Too Bad To Go (Never Join Moscow) (トゥ・バッド・トゥ・ゴー)
                             Words and Music By Tanka, M.Morioka, T.Yamaguti
He Makes Good Songs (素敵なグッドソングス)   Words and Music By T.Yamaguti
Rain At Nine (九時の雨 - さよならジョン・ウエイン)   Words By T.Yamaguti / Music By H.Okui
Ob-La-Di,Ob-La-Da (オブラディ・オブラダ)   Words and Music By J.Lennon - P.McCartney
Downright Country boy (恋するカントリーボーイ)
                               Words By A.Hashimoto / Music By T.Yamaguti
Intermission I 〜
Noodle Vender Blues (ヌードル・ベンダー・ブルース)   Words and Music By T.Yamaguti
Intermission II 〜
Fly Your Love (Human Empty Orchestra) (君の愛を飛ばそう - 人間カラオケ)
                               Words By T.Yamaguti / Music By A.Hashimoto
I Wonder I Want (Instrumental) (アイ・ワンダー・アイ・ウォント - インストゥルメンタル)
                                     Words and Music By M.Morioka
Farewell Party 〜 Jail Breaker (ジャイル・ブレイカー)   Words and Music By M.Morioka
Intermission III 〜
God Save The Queen II (ゴッド・セイヴ・ザ・クイーンU)   Words and Music By M.Morioka
Intermission IV 〜 Lonely Melody (哀愁のメロディ)   Music By M.Morioka
Intermission V 〜 Little You (リトル・ユー)   Words and Music By A.Hashimoto
Couldn't Get It Back (Live) (もうとり戻せない - ライブ)
                              Words By T.Yamaguti / Music By A.Hashimoto
Intermission VI 〜 Snowy (スノーウィ)   Words and Music By M.Morioka and T.Yamaguti
Intermission VII 〜 If You Want Again A Rock'N'Roll (ロックンロールでもう一度)
                                    Words and Music By A.Hashimoto
Skyline (恋のジェット飛行)   Words and Music By T.Yamaguti
Friend (フレンド)   Words By T.Yamaguti / Music By A.Hashimoto and T.Yamaguti

随所にメンバー達の会話や電車の音や雑踏などの効果音が挿入されるサウンドトラックならではの本作はに大きく分けて次の三つの音源で構成される。(1) 久々に集まって録音されたホームライブ風音源 (2) 過去に録音され眠っていた音源 (3) サウンドトラックとして仕上げる都合上新たに録音された音源 ... オープニングは(3)に属するとってつけたような「恋のジェット飛行・交響曲」から新曲の「バック・イン・ザ・RUG」、さらに成田紛争をテーマにした堅田サウンドの新作「タワー・キーパー」と続く。R&B風の「ヌードル・ベンダー・ブルース」をはじめ「リトル・ユー」「ロックンロールでもう一度」など新曲はロック寄りのものが多い。一方では森岡、山口に当時の音楽仲間タンカの三人が共作した「トゥー・バッド・トゥ・ゴー」、セッションメンバーとして協力している奥井弘が作曲・ボーカルを担当する「九時の雨」、やはりセッションメンバーとして参加している木村成吉が楽しそうに歌う「オブラディ・オブラダ」、森岡と山口が人間カラオケで演奏する?「君の愛を飛ばそう」などユニークな作品も収録されている。本作の主役は森岡であることから、中盤は「ジャイル・ブレイカー」「アイ・ワンダー・アイ・ウォント」などの森岡作品を森岡と山口が過去に録音したという未発表音源で聴かせる。そして終盤に向かうところではファン垂涎の「もうとり戻せない」が登場する。北川洋一(Ds)、伏木明夫(Bs)、朝岡晴美(Vo)、後藤雄二(クラリネット)ら多彩なゲストの協力を得た伝説の洛東フェスティバルの貴重なライブ音源だ。そしてライブを締めくくるかのように演奏される「恋のジェット飛行」を経て、ラストナンバーは橋本と山口から森岡に捧げられた新曲「フレンド」... かくして洛東UNDERGROUNDは再び眠りにつく。基本的にはこれは“再結成〜再び解散”を記録した作品集である。だが仲間で集まり楽しそうに歌い演奏する彼らの姿はいつの日かまた再結成されることを予感させるに十分なものであった。その点が本作の人気の理由かもしれない...。
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