What is "WORKERS(TM)" ? WHAT IS ? CONTENTS BONUS TRACKS MAKING - SONGS MAKING - RECORDINGS MAKING - OTHER INFO

『ワーカーズ』その鮮烈なデビューから26年... 誰も予想しなかった洛東UNDERGROUNDの新作が突如発表された。タイトルは『ワーカーズ』。一曲を除きすべて2002年以降に書かれた新曲ばかりを収録した新作は、たんに年齢だけではない進化を遂げた洛東UNDERGROUNDの姿が刻み込まれた快心作である。


作品集は五部作“世界の労働者に捧ぐ”をひとつの軸に、“愛と友情と郷愁”をテーマとした作品群をもうひとつの軸にして構成されており、お得意のジャン弾きにぎやかソングから重いメッセージソングまで多様な歌と演奏を聴かせてくれる。


尚、いかにも“ワーカーズ(労働者)”然としているとぼけたジャケット写真もユニークな本作品にはボーナストラックが5曲収録されている。本作リリースを間近に控えて先行リリースされたシングル盤収録の2曲と第二弾シングル収録の3曲。本編14曲と合わせて合計19曲が楽しめる仕掛けだ。

シングル第二弾『走れ!ワーカーズ/マイ・オールド・フレンド』シングル第一弾『スカイ・ブルー』


以上、ぜひとも洛東UNDERGROUNDの記念すべき復帰第一作をお楽しみいただきたいと思う。









Contents Of "WORKERS(TM)" WHAT IS ? CONTENTS BONUS TRACKS MAKING - SONGS MAKING - RECORDINGS MAKING - OTHER INFO

収録曲、パーソナル、簡単な曲目紹介は次のとおり。

1.ジャー・ジャー Jar Jar (Words By T.Yamaguti / Music By A.Hashimoto)
M.Morioka .... Vocal / Handclaps
T.Yamaguti .... Vocal / Handclaps
A.Hashimoto .... Backing Vocal / Acoustic Guitar / Handclaps

この作品集には活動を再開した2002年以降に書かれた作品が収録されているが、この作品のみ1978年に書かれたもの。当時の英語の先生に捧げられた作品でもある。

2.スカイ・ブルー Sky Blue (Words By T.Yamaguti / Music By A.Hashimoto)
T.Yamaguti .... Vocal / Electric Guitar / Strings / Bass / Rhythm Programming
A.Hashimoto .... Backing Vocal / Electric Guitar (Solo)
M.Morioka .... Backing Vocal / Acoustic Guitar

“大儀? そんな呪わしきナイフは捨ててしまえ! どっちが重いのだ? そんなものと人間の命と...”と歌われる9・11アメリカ同時多発テロ事件をテーマにした重い作品。当初“テロの犠牲となった多くの人々”に捧げられたが、現在ではそれに加えて“無意味な戦争の犠牲となった全ての普通の人々”にも捧げられている。

3.旧交 Friendship (Words and Music By T.Yamaguti)
M.Morioka .... Vocal
A.Hashimoto .... Backing Vocal / Electric Guitar (Solo)
T.Yamaguti .... Backing Vocal / Acoustic Guitar / Bass / Rhythm Programming

活動再開をきっかけに生まれた作品である。久々に顔を合わせた再会のシーンを歌詞に織り込んだもので“25年間、何も変わらない。世界が変化しただけさ”と歌う。メンバー達にとっても思い入れの深い作品である。

4.恋におちてばかり I Used To Fall In Love (Words By T.Yamaguti / Music By A.Hashimoto)
T.Yamaguti .... Vocal / Bass / Rhythm Programming
A.Hashimoto .... Backing Vocal / Electric Guitar (Solo)
M.Morioka .... Backing Vocal / Electric Guitar

ビートルズ・タッチのポップなナンバーとして仕上げられている作品。晩年にさしかかった色男がそろそろ恒久的な伴侶が欲しいものだ、と思う心境の変化について歌っている。

5.夢のつづき We Dreamed To Be ... (Only Rock'n'Roll Star) (Words and Music By A.Hashimoto)
M.Morioka .... Vocal / Electric Guirar
A.Hashimoto .... Backing Vocal / Acoustic Guitar (Solo)
T.Yamaguti .... Backing Vocal / Electric Piano / Bass / Rhythm Programming

アコースティック・ギターの音色が効いている“ただ単にロック・スターを夢見ていたのさ...”と歌われるメロディアスな作品。根城にしていた京都・洛東エリアの風景も歌詞に織り込まれた感動作である。

6.心の風景 Landscape (Words and Music By A.Hashimoto)
T.Yamaguti .... Vocal / Piano / Bass / Rhythm Programming
A.Hashimoto .... Backing Vocal / Acoustic Guitar
M.Morioka .... Backing Vocal / Electric Guitar

息をするのもイヤになるぐらい何もやる気が起こらない... という退廃的な心象風景をテーマにしている。“俺は知っている。大地が回っていることを。常に。どんな場合も”というフレーズに諦念観が凝縮された、短いが印象深い作品。

7.誰かが万歩と呼んだ場所 The Place Someone Called 'Millon Feet' (Words By T.Yamaguti / Music By A.Hashimoto)
M.Morioka .... Vocal / Harp
A.Hashimoto .... Backing Vocal / Electric Guitar
T.Yamaguti .... Backing Vocal / Acoustic Guitar / Piano / Brass Section / Bass / Rhythm Programming / Tambourine

“万歩”とは彼らが高校の体育の時間にマラソンで走っていった場所の通称名。またそのすぐそばには伝説のファーストアルバムのジャケット写真撮影に使用された古びた洋館が建っている。郷愁溢れる前半のハイライト作品である。

8.夜明けのワーカーズ Workers From Daybreak (Music By T.Yamaguti + A.Hashimoto)
A.Hashimoto .... Electric Guitar (Slide)
M.Morioka .... Acoustic Guitar
T.Yamaguti .... Synthesizer / Strings / Bass / Rhythm Programming

世界中のワーカーズ(労働者達)に捧げられた“ワーカーズ五部作”のオープニング・ナンバー。木管楽器系の音をモチーフに、まだ陽が十分昇らない薄明かりの中を新しくハードな一日に臨むべく出掛けていくワーカーズの姿を描き出すインストゥルメンタル作品である。

9.走れ!ワーカーズ Workers On The Run (Words By T.Yamaguti + A.Hashimoto / Music By A.Hashimoto)
M.Morioka .... Vocal / Acoustic Guitar
A.Hashimoto .... Backing Vocal / Electric Guitar
T.Yamaguti .... Backing Vocal / Organ / Bass / Rhythm Programming

“激しい雨が鉄道を麻痺させても、強烈な風が飛行機をぶっ壊しても、二本の足を使って移動せよ! 辛くても...”と歌われる出張族のワーカーズに捧げるブチ切れソング。“ワーカーズ五部作”はこの作品の誕生をきっかけに発展した。

10.影のワーカーズ Workers Of The Shadow (Words By T.Yamaguti / Music By A.Hashimoto)
T.Yamaguti .... Vocal / Acoustic Guitar / Strings / Bass / Rhythm Programming
A.Hashimoto .... Backing Vocal / Electric Guitar (Solo)
M.Morioka .... Backing Vocal / Electric Guitar

様々な事態に対して自らが所属する組織のために影のように奔走するワーカーズに捧げられた作品。当初“太陽のワーカーズ (Workers Of The Sun)”と題されていたが、あまりにも重くハードな音になってしまったため現在のタイトルになった、というエピソードが残されている。

11.沈黙のワーカーズ Workers In The Silence (Words By T.Yamaguti + A.Hashimoto / Music By A.Hashimoto)
T.Yamaguti .... Vocal / Electric Guitar / Bass / Rhythm Programming
A.Hashimoto .... Backing Vocal / Electric Guitar (Solo)
M.Morioka .... Backing Vocal / Acoustic Guitar

軽快なロックロールでまとめられているが、様々なプレッシャーを受けながらも黙々と任務を遂行しようと悪戦苦闘するワーカーズに捧げられた作品である。

12.帰ってきたワーカーズ Workers At Homebound (Words By T.Yamaguti / Music By M.Morioka)
M.Morioka .... Vocal / Acoustic Guitar
A.Hashimoto .... Backing Vocal
T.Yamaguti .... Backing Vocal

いつもこてんぱんにやられ続けるワーカーズだが、一日が終われば自分の居るべき場所に戻ってこれる... そんなワーカーズに贈る締めくくりの癒しソング。だが夜が更け、そして陽が昇れば再び彼らは出掛けていく。新しくハードな一日に向けて...。

13.ミラクル・マン Miracle Man (Words By A.Hashimoto + T.Yamaguti / Music By A.Hashimoto)
T.Yamaguti .... Vocal / Piano / Bass / Rhythm Programming
A.Hashimoto .... Backing Vocal / Electric Guitar
M.Morioka .... Backing Vocal / Acoustic Guitar

“東京あたりをうろうろしていると見るからに高慢チキな女を見かけることがある。この歌はそんな女どもを簡単にギャフンと言わせられる奇蹟の男について歌ったものである”(作詞者である橋本のコメントより)... 独特のうねりを持つこの作品は呪術的なインパクトを与えるであろう。

14.マイ・オールド・フレンド My Old Friend (Words and Music By M.Morioka)
M.Morioka .... Vocal / Mouth Whistle / Acoustic Guitar
A.Hashimoto .... Backing Vocal / Electric Guitar (Solo)
T.Yamaguti .... Backing Vocal / Piano / Bass / Rhythm Programming

森岡の手になる“堅田サウンド”の進化形作品をもってこの作品集はフィナーレを迎える。“だからわが友よ、今は大変忙しいだろうが、私はもっと君と一緒に歌っていたいんだ”と歌われるこの作品は、仲間と音楽に対する強い想いが凝縮されており感動的ですらある。ご静聴ありがとうございました。

 Let's Play Tracks Of Album ...



Bonus Tracks Of "WORKERS(TM)" WHAT IS ? CONTENTS BONUS TRACKS MAKING - SONGS MAKING - RECORDINGS MAKING - OTHER INFO

以下はボーナストラックとして収録された曲目である。

15.スカイ・ブルー Sky Blue (Single Version) (Words By T.Yamaguti / Music By A.Hashimoto)
T.Yamaguti .... Vocal / Electric Guitar / Strings / Bass / Rhythm Programming
A.Hashimoto .... Backing Vocal / Electric Guitar (Solo)
M.Morioka .... Backing Vocal / Acoustic Guitar

最初のボーナストラックは第一弾シングルとしてリリースされた別バージョンの「スカイ・ブルー」である。当初シングル化の可否が議論されたがイラク戦争の勃発とともにリリースが正式決定した。

16.恋に気づこう You Had Better Wake Up (Words and Music By T.Yamaguti)
M.Morioka .... Vocal
A.Hashimoto .... Backing Vocal / Electric Guitar (Solo)
T.Yamaguti .... Backing Vocal / Electric Guitar / Bass / Rhythm Programming

二つ目のボーナストラックは「スカイ・ブルー」とカップリングでシングルリリースされた作品。彼女の思いを感じない鈍感な友人に“お前が寝惚けているなら俺がもらうぜ!”と怒る男を主人公とした軽いポップナンバーである。

17.走れ!ワーカーズ Workers On The Run (Single Version) (Words By T.Yamaguti + A.Hashimoto / Music By A.Hashimoto)
M.Morioka .... Vocal / Acoustic Guitar
A.Hashimoto .... Backing Vocal / Electric Guitar
T.Yamaguti .... Backing Vocal / Organ / Bass / Rhythm Programming

三つ目のボーナストラックは第二弾シングルとなった別バージョンの「走れ!ワーカーズ」。エレキギターを前に出したオリジナルバージョンに対しこちらはアコースティックギターを前に出したミキシングとなっている。

18.マイ・オールド・フレンド My Old Friend (Single Remix) (Words and Music By M.Morioka)
M.Morioka .... Vocal / Mouth Whistle / Acoustic Guitar
A.Hashimoto .... Backing Vocal / Electric Guitar (Solo)
T.Yamaguti .... Backing Vocal / Piano / Bass / Rhythm Programming

四つ目のボーナストラックは第二弾シングルとなった別ミックスの「マイ・オールド・フレンド」(第二弾シングルは「走れ!ワーカーズ」とこの曲が両A面扱い)。基本の録音はオリジナルバージョンと同じものだがギターソロあたりのミキシングが異なるバージョンを採用している。

19.誉れ高き瞬間 Just Only Inside Or Outside (Words and Music By T.Yamaguti)
T.Yamaguti .... Vocal / Harpsichode / Bass / Rhythm Programming
A.Hashimoto .... Backing Vocal / Electric Guitar
M.Morioka .... Backing Vocal / Acoustic Guitar

最後のボーナストラックは「走れ!ワーカーズ/マイ・オールド・フレンド」とカップリングでシングルリリースされた作品。この歌は勝手に“FIFA World Cup(TM) 2006 Germany - Un-Official Song”と称されており、ゴールポストやクロスバーやロスタイムに翻弄される微妙な勝負の綾を歌ったもの。

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2002年1月中頃 ....「旧交」発表
2002年1月3日、メンバー三人は最後のライブ活動から数えて実に22年ぶりに再会を果たした。この段階では“活動再開じゃ〜!”“新作を制作しよう!”と口では言うものの実のところは半信半疑であったと思う。だがこの再会をテーマにした新曲が山口によって書かれた。これが活動再開後最初のオリジナル曲となる。

2002年6月後半 ....「心の風景」突如発表。「スカイ・ブルー」「恋におちてばかり」正式発表
再会を機にRUGの中心ソングライターチームである橋本と山口も共同作業を再開した。山口によりふたつばかりの歌詞が1月終盤、橋本の携帯電話にメールで転送された。すでに2002年2月初頭には“そのうち1曲が完成した”という返信が行われている。これが「スカイ・ブルー」と「恋におちてばかり」であり、二曲とも4月中頃には発表可能な状態になっていたようだ。だが残念ながら橋本が多忙のため発表はさらに先送りとされた。さらに時は流れ6月後半、突如橋本から山口の元にメールが届く。“元気ですか? 私はあまりにも退廃的な心情の為突如 LANDSCAPE、てな曲が出来てしまいました”... かくして山口がビデオカメラを片手に橋本邸を急襲、懸案の二曲と突然誕生した新曲「心の風景」を記録したのである。

2002年8月中頃 ....「誰かが万歩と呼んだ場所」発表
ようやくまとまった数の新曲が発表できた、ということで活気づいた橋本&山口コンビはさらなる作品作りに力を入れる。そんな折りに山口が橋本に提供したのが「誰かが万歩と呼んだ場所」と題された歌詞だった。当時を振り返って橋本曰く“そもそも1番、2番の歌詞よりリピートの歌詞の方がいきなり長い、というなかなかヘヴィなナンバー”... かくして8月中頃、橋本は“RUGらしい、とりあえずおもろい曲”と前置きしてこの新曲を発表した。

2002年10月初頭 ....「走れ!ワーカーズ」「ミラクル・マン」正式発表
8月後半、橋本は山口からのメールを受け取った。出張中に発作的に歌詞が書けたのだと言う。タイトルは「ワーカーズ・オン・ザ・ラン」といい、山口は“底抜けに明るくやけくそな曲”と希望したという。出張族なら間違いなく共有できる強烈な歌詞に触発された橋本は3日程度でこの曲を完成した。また勢いあまった橋本は単独で「ミラクル・マン」という作品を書き上げた。“東京あたりに行くと、ツンとすまして何考えてんのや分からん今風の女がいるが、そんな女性でもイチコロで参らせてしまう奇蹟の男について歌ったのがこの歌”というのが本人の解説である。かくしてこの2曲は10月初頭、正式に発表と相成った。

2002年11月初頭 ....「影のワーカーズ」「沈黙のワーカーズ」発表
完成した「ワーカーズ・オン・ザ・ラン」のインパクトがあまりに強かった山口が、これをさらに発展させようと考えたのは10月中頃だったと思われる。この時点では“「ワーカーズ」シリーズは三部作となる。第二弾は「ワーカーズ・イン・ザ・サイレンス」、第三弾は「ワーカーズ・オブ・ザ・サン」になる予定”だと語っていた。かくして11月初頭、橋本によりこの2曲が発表された。だがここで問題が発生した。山口の頭の中では「サイレンス」は少し重いミディアムテンポなナンバー、「サン」は最後を飾るにふさわしいパワフルなナンバーということになっていたのだが、実際に発表されたのは「サイレンス」の方が軽快なロックンロール風ナンバーで、「サン」の方は暗く重たいハードな作品だったのである。しかし悩んだ時間はほんのわずかであった。「サン」は「シャドウ」と改題され中間に配置され「サイレンス」がラストナンバーに昇格したのである。

2002年11月初頭 ....「マイ・オールド・フレンド」「帰ってきたワーカーズ」発表
森岡は寡作家で知られている。納得できる仕上がりでないとなかなか発表しないのである。活動再開後もそれは変わらない。2002年2月中頃、彼は次のように述べている。“先日、風呂に入っていて頭の中にメロディーが浮かんできたので何とか曲にしたいと思っています。期待などしておられないでしょうけど気なが〜に待ってて下さい。気なが〜にですぞ。”.... また9月には“次々と発表される新曲、聴いてますよ! …聴いてるだけかって? 私も作ってますよ! でも、もう少し待ってください。例によってまだ1番しか歌詞ができとらんのですわい… 気なが〜〜〜に待っていただければ幸いです。”と言っている。だが11月初頭、ついに沈黙は破られた。山口の元に1本のカセットテープが届けられたのだ。そこには時間をかけて醸成された名曲「マイ・オールド・フレンド」が収録されていたのである。またこのテープにはもう一曲、新曲が収録されていた。「帰ってきたワーカーズ」である。いつの間にか「ワーカーズ」シリーズは五部作に拡大され、つい数日前に山口から森岡にメールで歌詞が送られたところだった。森岡は急いで曲作りをしても優れたソングライターであることを証明して見せたのであった。

2002年11月終盤 ....「夢のつづき」発表
森岡の新曲が発表されたことにより、新作の制作は現実味を帯び始めた。11月前半には山口により新作の収録曲リストが作成されたと言う。一方、東京出張中の橋本は堀留公園というところで突如新曲がひらめいたそうだ。かくして11月終盤、電撃的な新曲「夢のつづき」は発表された。またその結果、山口は早速リストを修正、「夢のつづき」は新作収録曲に名を連ねることになったのである。

2003年3月初頭 ....「夜明けのワーカーズ」完成・発表
かくして2002年は終了、2003年1月4日には新年会を兼ねた新作のリハーサルを実施、3月1日からは順次レコーディングが開始された。だが実は新作収録曲リストに載っているのにまだ完成していない曲があったのだ。「ワーカーズ」シリーズ五部作の冒頭を飾るインスト曲「夜明けのワーカーズ」である。だが旧年中に山口によりコード進行が決定され、橋本がそれにメロディを乗せて完成、という段取りなのだが、インスト曲ということでなかなかうまくいかないのである。だが3月に入りようやく完成、発表にこぎ着けた。これで新作収録曲はすべて揃い、あとは頑張ってレコーディングに励むのみ、という状況となった。

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■2002/12/??〜2003/02/E
山口によりもっともベースとなるバックトラックの制作が順次進められた。内容はパソコンを使用、ダイレクトに録音される予定の「ジャー・ジャー」「帰ってきたワーカーズ」、未完成の「夜明けのワーカーズ」を除く全曲について、ドラムスの打ち込みおよびベースとキーボード系の楽器を使用する楽曲については実際の鍵盤キーボードからの入力を行った。実際には出来上がった音は他のメンバーに回付され、何度か微修正が行われたという。

■2003/02/23
間近に迫った第一回録音に備えて録音スタジオとなる山口邸にて機材のチェックなどが行われた。またリハーサルを兼ねて「スカイ・ブルー」のエレキ・ギター(サイド)、「旧交」「誰かが万歩と呼んだ場所」「影のワーカーズ」のアコースティック・ギターの録音が山口単独により行われた。

■2003/03/01
激しい雨の中、愛機フライングVを持った橋本が山口邸を訪問、記念すべき復帰作第一回の正式録音が実施された。まず「スカイ・ブルー」のエレキ・ギター(ソロ)の録音からスタート。ディレイのセッティングに手間取ったが、無事完了(尚、音が潰れてしまい何を弾いているのか判らないのではないか?と心配していた橋本だったが、後日結果をモニターしOKとなる)。以下「旧交」のエレキ・ギター(ソロ)、「誰かが万歩と呼んだ場所」のエレキ・ギター(サイド)と録音が進む。これで以上の三曲はファースト・トラックが完成、ボーカル録り待ちの場所に保存された。

■2003/03/15
第二回録音を実施。尚、この日は森岡の参加も予定されていたが、異動の時期で同僚の引っ越しに駆り出されたためドタキャン... 仕方なく残り二名で行える作業のみが進められた。この日以降橋本はストラトキャスターを使用。「恋におちてばかり」「マイ・オールド・フレンド」のエレキ・ギター(ソロ)、「走れ!ワーカーズ」「ミラクル・マン」のエレキ・ギター(ソロ)と課題を順調に消化。またここで当初予定を変更、「夢のつづき」「心の風景」はアコースティック・ギターを使用した。結果として「夢のつづき」のソロパートは感動的な仕上がりとなる。尚、以上6曲はまだ森岡のパートを残しており次回録音でのファースト・トラック完成を目指すこととなる。

■2003/03/21
ファースト・トラックのレベルでは橋本の役割はほぼ完了したため、森岡の参加が待たれる状況となる。だがこの日予定されていた録音は、彼が京都・滋賀で開催中の“水フォーラム”の警備に駆り出されてしまったためまたしても没となる。

■2003/03/23
21日の予定をこの日にスライド、ようやく森岡の参加が実現し録音が行われた。またこの日は演奏予定がなかった橋本もスーパーバイザーとして山口邸に駆けつけた。まず山口の愛機335を使って「恋におちてばかり」のエレキ・ギター(サイド)を録音。また当初予定と変更になりエレキ・ギター(サイド)を演奏することになった「夢のつづき」「心の風景」の録音に突入した。普段弾かないエレキに悪戦苦闘した森岡だったが、楽器がアコースティック・ギターに変わると水を得た魚のように変身! 愛用のガット・ギターを自由自在に弾き倒す森岡! 「走れ!ワーカーズ」「ミラクル・マン」、さらにようやく曲自体が完成したインストナンバー「夜明けのワーカーズ」を軽快に片付けた。本人の自作曲「マイ・オールド・フレンド」は山口の要望で普通のアコースティック・ギターに持ち変えたが難なくクリア、無事予定を消化した。橋本がボトルネックを入れたいと言っている「夜明けのワーカーズ」を除く6曲はファースト・トラック完成ということでボーカル待ちの場所に保管された。また「走れ!ワーカーズ」はシングルリリースも行うことが決定し、森岡のアコースティック・ギターを前面に出した別ミキシングバージョンも用意される。

■2003/03/E
当初から第一弾シングルとしてのリリースが予定されていた「スカイ・ブルー」も急遽シングル用のバージョンを作成することが決定。そのようなことからアルバム用より少し短く、新しいアレンジの「スカイ・ブルー(シングル・バージョン)」およびそのカップリング曲となる「恋に気づこう」(当初アルバム収録を予定していたが「夢のつづき」の登場により一旦没になっていた)、さらに来る対決に備えて「沈黙のワーカーズ」のエレキ・ギター(サイド)を山口単独で録音した。さらに山口がボーカルを担当する「恋におちてばかり」「心の風景」「ミラクル・マン」の録音も敢行。この3曲はコーラスを録音すれば完成という段階に入る。

■2003/04/05
さていよいよ先送りにしてきた“対決”の日がやってきた。すなわち難航が予想される「影のワーカーズ」「沈黙のワーカーズ」の通称“Wワーカーズ”の録音である。この日は橋本が山口邸を訪れ作業を開始したが、予想通り作業は困難を極めた。だがなんとかそれぞれのエレキ・ギター(ソロ)をクリア、勢いに乗って「スカイ・ブルー(シングル・バージョン)」「恋に気づこう」のエレキ・ギター(ソロ)、第二弾シングルのカップリング曲「誉れ高き瞬間」のエレキ・ギター(サイド)を片付けた。さすがに疲労困憊の二人だったが、これで「影のワーカーズ」「誉れ高き瞬間」を除く3曲のファースト・トラックが完成、いよいよ新作の完成のメドが立ちはじめた。

■2003/04/17
従来土曜日や休祝日を利用して進められてきた録音作業だが、森岡と山口はボーカル録音のため平日に作業を行うという暴挙に出た。しかしまず森岡が「影のワーカーズ」のエレキ・ギター(サイド)の録音を行う。“ここでピックを使ってスクラッチを入れてくれ”と突然言い出す山口... 目を白黒させた森岡だったが見事要望をクリア、スリリングな仕上がりとなった。この勢いに乗って「誉れ高き瞬間」のアコースティック・ギターを片付ける。さらに森岡がアコースティック・ギターを弾き山口がボーカルを重ねる「スカイ・ブルー」「スカイ・ブルー(シングル・バージョン)」「沈黙のワーカーズ」を録音。“このアコースティックは音の厚みを出すのが目的やから”と言われた森岡はかなり気楽にガット・ギターを演奏していた。そしてようやく森岡単独のボーカル録り。「旧交」「夢のつづき」、ハープのソロをフューチャーする「誰かが万歩と呼んだ場所」、「走れ!ワーカーズ」「走れ!ワーカーズ(シングル・バージョン)」、さらに口笛のソロもある「マイ・オールド・フレンド」と多少の苦労もあったが順調に作業が進んだ。また最後に「帰ってきたワーカーズ」のボーカルとアコースティック・ギターを3テイク録音。どれを採用するかは橋本の判断を待つことになる。尚、当初「恋に気づこう」のボーカル録りも予定されていたが、諸般の事情で次回まわしになった。だがこれでさらに2曲のファースト・トラックが完成、10曲がコーラス待ちという状況となり作業は大いなる前進を遂げたと言える。

■2003/04/M
作業は次回いよいよコーラスの録音という段階に入った。まだ手つかずの「ジャー・ジャー」、元々インスト曲(だがこの段階ではボトルネックのアレンジが難航していた)の「夜明けのワーカーズ」、森岡が前回挫折した「恋に気づこう」を除くと、ボーカル録音が残っているのは2曲。よって山口が単独で「影のワーカーズ」「誉れ高き瞬間」のボーカル録音を行う。尚、この日録音した結果が不満足だった山口は後日もう一度この2曲の録音をやり直したとのこと。

■2003/04/29
いよいよコーラスの録音に入る。この日は橋本と山口の二人で森岡がボーカルを担当した曲に対してコーラスを録音した。事前に打ち合わせを行っていたお陰で録音はスムーズに進行、「旧交」「夢のつづき」「誰かが万歩と呼んだ場所」「走れ!ワーカーズ」「走れ!ワーカーズ(シングル・バージョン)」「マイ・オールド・フレンド」、さらに最初のテイクを採用することになった「帰ってきたワーカーズ」の7曲が最終完成となった。さらに懸案の「夜明けのワーカーズ」のボトルネックも録音、こちらも完成となる。残るは本編7曲、シングル関連3曲の計10曲のみ(それでも十分多いけど...)。ちなみに「マイ・オールド・フレンド」は同じトラックからアルバム用とシングル用の二種類のミキシング・テイクが作られた。

■2003/05/17
消化目標が多いので本当に終わるのか?という心配をしつつ、いよいよ録音の最終日。事前に山口による“コーラス案”なるドキュメントが各メンバーに配布されており事前準備は万全の中、山口邸に橋本、森岡が集まり3人で最後の工程に入る。まず手つかずだった「ジャー・ジャー」の録音を開始。こちらはまず橋本のアコースティック・ギターと森岡のボーカル、山口のハンドクラップを同時に録音し、続いて山口のセカンド・ボーカルと森岡のハンドクラップ、橋本のコーラスを重ね録りした。次に前回完了できなかった「恋に気づこう」の森岡のボーカルを録り、それに橋本と山口がコーラスを重ねる。さらに山口ボーカル曲に対し橋本、森岡がコーラスを入れる作業を敢行。「スカイ・ブルー」「スカイ・ブルー(シングル・バージョン)」「心の風景」「影のワーカーズ」、そして突然“ギターソロの前にナナナナナ…と叫んでくれ”と森岡が言われてしまった「沈黙のワーカーズ」と黙々と片付けていく。森岡が大胆なコーラスを試みちょっとつまづいた「ミラクル・マン」も何とか完成し、さらに「誉れ高き瞬間」「恋におちてばかり」まで漕ぎ着け無事全ての録音作業が終了となった。当初は録音の完了目標を7月においていた彼らだが、結果として約2ヶ月弱早い完成となった。忙しい中予定を消化した彼らは大満足の様子だったと伝えられている....

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■選曲およびパーソナル
森岡作の「マイ・オールド・フレンド」が発表された段階で新作収録曲目の選曲が本格化した。活動再開当初はなかなか作曲活動が軌道に乗らなかったので山口単独の作品が多く発表されていたが、その後様々な作品が作られてきたので、基本的には基本路線である山口作詞/橋本作曲の作品を中心とし、それに各人単独の作品を加える形で新作の全容が決まっていった。また一部新たに作られた曲が非常に優れている、ということで曲目の入れ替えも行われたこともあったという。尚、基本的には活動再開後に書かれた作品を選出しているが、山口は何故か冒頭に昔の作品「ジャー・ジャー」を収録することに固執したが、その理由は未だに定かではない。

さて昔は作曲者がボーカルを担当するのが習わしであったが、活動再開に当たっては橋本より“俺はボーカルは取らない。その代わりギターは任せてや”という宣言が行われたため残る2名でボーカルの担当割りを行うことになった。1月19日、出張の移動時間でヒマしていた山口から朝礼前でヒマしていた森岡にメールが送られ正式な担当割りが決定。二人でダブル・ボーカルをとる「ジャー・ジャー」以外は曲順に沿って山口→森岡→山口→森岡... というようにほぼ交互にボーカルを担当することになった。選択基準は“感動的な作品は森岡、ロック調で真っ直ぐ走る単純な曲は山口”ということらしい。

一方楽器の担当割りは各曲のアレンジを担当した山口が独断と偏見で決定したと言われている。また前述橋本の宣言を受けてギターソロのパートは全面的に橋本に委ねられた。実際には録音が進むにつれて若干の変更が行われたようだが、基本線は大きく崩していないようだ。

■使用楽器
エレキ・ギター .... 橋本は3曲のみフライングV、他の曲ではストラトキャスターを使用したが「夜明けのワーカーズ」のボトルネックのみ弦とフレットの間が広いという理由で山口のセミ・アコ・タイプ335を借用した。山口と森岡は山口の335を使用している。

アコースティック・ギター .... 橋本と山口は山口のものを使用。森岡は大半の曲において自前のガット・ギターを使用、一部山口のものを借用した。

その他 .... 森岡は「誰かが万歩と呼んだ場所」でCにチューニングされた自前のブルースハープを演奏した。また山口が担当したキーボード系の音は全てパソコン/MIDI音源/MIDIキーボードにより演奏された。「誰かが万歩と呼んだ場所」に聴かれるブラス系の音も同様である。また同曲で聴かれるタンバリンはリズム楽器としては唯一生の音で、録音当日の思い付きで山口が叩いている。

■録音機材
一番ベースとなる音作りはノートパソコン/シーケンサーソフト/MIDI音源/MIDIキーボードを組み合わせて行われた。ドラムスはちまちまと打ち込みし、ベースとキーボード系の音は鍵盤キーボードからの入力であった。尚、MIDI音源はかなり古いものだが当座の表現にはあまり支障がないし金も無い、ということで継続使用。ソフトはOSとの相性が悪いのか頻繁にフリーズしたがなだめたり賺したりして作業を進めたとのこと。

これで完成したトラックは4トラック・レコーダーに記録された。媒体はカセットテープ。3人共通の友人である上南から山口が預かっていた(実は借りパクしていた?)ものである。せっかくあるので... ということでフル活用することとなる。尚、これで2トラックが埋まり、後の2トラックにギターを個別録音、ファースト・トラックを完成させた。

完成したファースト・トラックは一旦MDにミックス・ダウンされ、再び4トラック・レコーダーにセットされた新しいカセットテープに記録された。やはり2トラックはこれで埋まる。かくして残り1トラックにボーカル、もう1トラックにコーラスが録音された。山口としては2名のコーラスを別々のトラックに録音したかったらしいが、装備の制限がある以上やむを得ず諦めた模様。またエコーマシンの導入を検討したがお金がないので諦めギター用のディレイ・エフェクタで代用したという話も伝わっている。効果の程は今イチだったが。

これで完成した最終トラックは再びMDにミックス・ダウンされる。ここからは再びノート・パソコンが起用されオーディオ・キャプチャーと言うパソコン用周辺機器を介してパソコンに送り込む。ソフトは機器に添付されてきたものを使用、MDから光ケーブルで来た信号をWAVファイルとしてハードディスクに記録するのだが、原因不明の音飛びに悩まされた模様。残念ながらよく聴けば音が飛ぶ箇所が若干残っているという。

後はCD−Rメディアに音楽CD形式で焼き付ければ新作が完成という段取りである。

■ジャケット作成
CD化にあたってはジャケットは重要な要素である。基本的なデザインは山口が担当した。またジャケット中央に配する写真について当初2種類の案がメンバー間で検討された。ひとつは伝説的なファースト・アルバムのジャケット写真と同じ場所で撮影を行う、というもの。構図などはそのままで年齢を経たメンバーが写るという当時のパロディみたいなアイデアで非常におもしろいと好評だったが、最終的には新作のコンセプトに沿って森岡が勤務する交番に他の二人がスーツ姿で出掛けていき撮影する案が採用された。撮影は5月25日朝7時に現地で行われた。バスが頻繁に往来する現地では三脚を立てて一気に撮影... という訳にもいかず苦肉の策として二名づつの写真を複数撮り、後で合成して仕上げるという作戦に出た。よく見るとつぎはぎした箇所が判る仕上がりだがやむなしということになる。尚、没となった最初の案は引き続き温存され次作(!)のジャケットとして採用される見込みだと言う。

ご拝読、ありがとう。では中身の方もお楽しみ下さい。